ジハード 1 猛き十字のアッカ (集英社文庫)

ジハード 1 猛き十字のアッカ (集英社文庫)

最近、定金伸治の本を良く読んでいる。そもそもは刊行が中断してしまった「四方世界の王」が読みたくてたまらなく、仕方なく他の作品を読み始めたのだけれど、なんでも8月には新刊が出るらしい。とは言え、ほんとかどうかはわからない。
「ブラックランド・ファンタジア」「ユーフォリ・テクニカ」と読んできて、この「ジハード」をようやく集められたので一気呵成に読みきった。
ところで、この定金伸治には「怒る少女」と「少年のような少女」になんらかの盲目的な信仰心があるとしか思えないほどに、ヒロインの造詣がどの作品でも一貫している。どの作品にもそんなヒロインばかりで、なんだか素晴らしい。
さて「ジハード」。「銀河英雄伝説」を始めとした「およそ英雄らしくないぼんやりとした主人公が、戦争に関わった途端その外見に似合わない卓越した智謀によって奇策を巡らし、謎の魅力で持って仲間を増やし、次々と敵を撃破していく戦記物ライトノベル」のひとつだ。この系統の戦記物ライトノベルは案外多く、主人公の造詣や主人公が編み出す奇策もそれぞれでかなり似通っている。この作品でもそのあたりはフォーマット通りなのだけれど、舞台が十字軍との戦いの最中のイスラムで、主人公がキリスト教徒ながらイスラム側で戦うと言うところが面白い。それと「早すぎる親友の死」「体制側に良いように使われる主人公」「主人公は戦争が嫌い」というお決まりもしっかりと盛り込まれている。
世界史上の出来事にこのような物語を盛り込むのは非常に難しい行為だとは思うがこの作品では歴史の間隙に見事に物語を組み込んでいる。ただ、最終巻だけどうにもとってつけた感じがして、読み終わったときにはボロボロと泣いてしまいながらもどこか納得がいかなかったのがもどかしい。